2016年4月に東京藝術大学大学院美術研究科に開設されたグローバルアートプラクティス専攻(GAP)は、グローバル化した現代において社会が持つ様々な課題に、国家や文化を超え、単一の価値観ではなく、多様なパースペクティブを持って向かい合う実践の場、同時に実験の場、お互いに学び合える場を目指して活動を行なってきました。留学生が約半数を占めるGAPは、学んできたこと、目指す分野も異なる多様な背景を持った人々の集合体であり、社会人経験のある学生も少なくありません。
パリ国立高等美術学校(BAP)とロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズ校(CSM)との協働の経験と蓄積からは、より大きなプラットフォームでの交流など、新たな流れも生まれてきています。
GAP is a place for sharing, experimentation, interdisciplinary and transcultural practice with multiple perspectives.
GAPは多様なパースペクティブによる共有、実験、領域横断、文化を超えた実践の場です。
GAPのビジョン
Global Perspective 既存の地理的条件や国家などに捉われないグローバルな視野を育みます。
Multi Perspective 多様なパースペクティブを学ぶことで、多様な考え方やアプローチ、そして世界観を学びます。
Discourse and Hand プログラムは言説と手による二つの思考の実践を柱とします。
Collaborative Learning 個の学びとともに協働を通した学びを実践します。
修士1年:
・海外大学との共同授業(ロングユニット)
・海外アーティストによる授業
・グループ・ワーク(ソーシャル・プラクティス)
・個人の制作・研究+グループ・ワーク
修士2年:
・研究室(ゼミ)活動
・終了制作・終了論文
・個人の制作・研究
1、2年共通:交換留学
GAPは1年次にグローバル・アート・ジョイント・プログラム(GAJP、通称ロングユニット)と呼ばれる海外大学との共同授業、そしてソーシャル・プラクティスと呼ばれる国際的に活躍するアーティストによるワークショップ、GAPプラクティス、 GAPセミナーなど実践と理論とを学ぶ授業が展開されます。1年次は頭と手、言説と制作を通して多様なパースペクティブを獲得することを目標とし、また協働を通した学びを実践します。これまでロングユニットは1年時にCSM、BAP、シュテーデルシューレとの共同授業に取り組みました。
2年次は研究室制度によりゼミ授業と個人チュートリアルを中心に修了制作や修了論文執筆に取り組みます。藝大の伝統的に重要な授業の一つである古美術研究旅行も行われます。
また、博士後期課程においては2021年度より、タイ・シラパコーン大学と共同でダブルディグリープログラムを実施しています。
授業の基本言語は英語で行われますが、英語はあくまでコミュニケーションのツールです。オンラインを活用して世界をつなぐ授業も積極的に展開しています。ロングユニットの経験を活かして交換留学へ挑戦する学生も多く、専攻として積極的にサポートしています。2021年度からはSHARED CAMPUS*のテーマパートナーとして海外美大でのサマーコースなどへの門戸を開いていきます。
※ SHARED CAMPUS:ヨーロッパとアジアの八つの芸術大学によって発足した国際的な連携プラットフォーム。学生や教員が学際的な協働作業を通して、文化横断的な諸問題について国境を超えた教育・研究活動に取り組みます。 |