この度、東京藝術大学においては、我が国では初の試みとなる、将来音楽家を目指す全国の子ども達を対象とした「早期教育プロジェクト」を開始いたします。
本プロジェクトは、文部科学省「国立大学改革プラン」を踏まえた本学の機能強化の一環として構想するものですが、特に音楽分野では、世界的な状況を見た場合「早期教育」の有効性は明らかであることから、文化芸術立国を目指す我が国においても、国際舞台で活躍できる音楽家育成を推進する上で必要不可欠と考え、国立大学中唯一の芸術大学である本学の重要なミッションとして実施を決断しました。
本プロジェクトでは、日本全国を対象に早期教育を実施し、幼少期から継続的・段階的に指導を行うことで優れた才能を開花させ、世界への飛躍に繋げることを目指しますが、特に昨今、少子化社会において音楽家を目指す若者が減少傾向にある中、受験等様々な流れ・選択の過程で、才能ある子どもが音楽家への道を断念してしまう状況が絶えないことに鑑み、まずは子どもたちの可能性を発見して最大限伸ばし、彼らの夢を実現させてあげたいというのが我々の願いであり、本プロジェクトにおける最大の目的でもあります。
さらに、地域における卓越人材の発掘・育成はもとより、会場に集う全ての人々が“感動”や“ときめき”を体感・共有することで地域の活性化に繋げるなど、“音楽の魅力”や“芸術の力”を活かすことで、「地方創生」の一助となればと考えています。
本年度は、札幌及び福岡の2カ所で試行的に実施しますが、音楽学部長をはじめとする本学教員等が現地に赴き、公開型のレッスンを、受講料・入場料無料で実施いたしますので、受講者のみならず地域の方々にも是非会場に足を運んでいただき、音楽をもっと身近なものとして感じるきっかけにしてもらえればと思います。
なお、来年度以降は、本学上野キャンパスにおける実施を含め、対象地域や対象年次等を順次拡大予定であり、さらに、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団等から誘致する世界一線級アーティストによる指導機会の提供や、「飛び入学制度」の導入など、さらに魅力的で体系的なプログラムへと発展させていくこととしています。
今回のプロジェクト試行を皮切りに、今後更に制度設計を進めていく予定ですので、関係各位におかれましては、引き続きご支援の程何卒宜しくお願いいたします。
平成26年12月17日
東京藝術大学長
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